一時停止違反の左折自転車と直進自転車が衝突した事故

東京地裁平成25年4月23日判決(自保ジャーナル1903号)

事案

交差点において、一時停止の表示があるにもかかわらず一時停止をせずに左折した自転車と、前方のカーブミラーを見ることなく直進した自転車が衝突した、自転車同士の交通事故です。

以下の事情が考慮されていますので、参考にして下さい。

  • 自転車の一時停止義務違反
  • 自転車の道路の右側走行
自転車同士(歩道上)の裁判例
自転車同士(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は自転車25%対自転車75%

自転車25% 対 自転車75%

裁判所の判断

裁判所は過失割合について以下のとおり判断しました。

「上記認定事実によれば、本件事故は、被告乙山が、一時停止の表示があったにもかかわらず、一時停止をせずに左方及び前方を注視せずに本件交差点を左折しようとした過失により発生したものというべきであるが、他方、原告もカーブミラーを見ることなく、東西区道の右側を走行していた過失があるから、少なくとも25%の過失相殺をするのが相当である。」
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解説

概要

交差点を左折する自転車には一時停止違反がありますが、直進車も道路右側を通行していたこと、カーブミラーを確認していなかったことから25%の過失相殺をしたものです。

自転車の一時停止について

自転車も一時停止の指定のある交差点では一時停止をする義務があります。

被告の一時停止義務違反を重視した判断をしています。

⇒自転車の一時停止については自転車も交差点で一時停止の必要があるの?で解説しています。

左端走行義務について

自転車は道路の左側端を走行する義務があります。

原告も道路の右側を走行していたことが過失として評価されています。

⇒自転車の右側通行については自転車は道路をどのように通行しなければならないのか?で解説しています。

類似の裁判例

裁判例①

自転車同士の交差点での出会い頭事故で、一方に一時停止義務違反が認められた事故の裁判例です。

自転車同士の出会い頭の衝突事故で一時停止違反があった事故

裁判例②

丁字路交差点の自転車同士の事故で、一時停止義務違反が認められた事故の裁判例です。

一時停止違反の自転車の過失を85%と認定した裁判例

裁判所が認めた慰謝料と損害額

裁判所は、通院慰謝料90万円、後遺障害慰謝料110万円を含む347万0729円を損害と認め、過失相殺後の金額を260万3047円としました。