歩道上で歩行者に自転車が正面から衝突した事故

大阪地裁平成23年 7月26日判決(自保ジャーナル1864号)

事案

歩道上において、歩行者自転車正面から衝突したという、自転車と歩行者の交通事故です。

以下の事情が考慮されていますので、類似の事故で参考にしてください。

  • 歩行者が高齢者である
  • 自転車の高速度走行
自転車と歩行者(歩道上)の裁判例
自転車と歩行者(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は歩行者0%対自転車100%

歩行者0% 対 自転車100%

裁判所の判断

自転車側が、「見通しの良い歩道上で発生したものであることからすれば、原告も、歩道の端に移動するなど本件事故を回避し得たことからすれば、一定限度の過失相殺がなされるべきである。」として過失相殺の主張をしたのに対し、裁判所は以下のとおり判断しました。

「本件事故は、午後7時5分ころに発生したものであるところ、本件事故当時の原告の年齢は77才であると認められるところ、本件事故当時、被告車両のスピードが出ていたことについては当事者間に争いがなく、被告自身、右方向に気を取られ原告の発見が遅れたことについて自認していることも併せれば、本件事故は、専ら被告の過失によって発生したというべきである。
したがって、被告の過失相殺の主張には理由がない。」
電話での簡単なご質問にも対応!お気軽にご相談ください
お電話で無料相談
LINEで無料相談

解説

概要

歩道上で歩行者に自転車が衝突した事故です。

歩道では歩行者の安全が優先されますので、本件で過失相殺が認められなかったのは当然と考えられます。

自転車の速度について

自転車の一般的な速度は時速約15㎞とされ、自転車が徐行する速度(直ちに停止できるような速度)は時速6~8㎞と考えれています。

自転車が高速度であったことは争いがないとして過失として評価されています。

⇒自転車の速度については自転車事故で問題となる自転車の速度は?で解説しています。

高齢者修正について

被害者が高齢者であるときは、高齢者であることを理由に過失割合を小さくする修正が行われます。

これは弱者保護を根拠にするものなので、加害者が高齢者であることを理由に被害者の過失割合が大きくなることはありません。

歩行者が77歳であることが考慮されています。

類似の裁判例

裁判例①

歩道上で自転車が速めの速度で無灯火で歩行者に衝突した事故の裁判例です。

歩道上で自転車が歩行者に正面から衝突した事故

裁判例②

歩道上で自転車が歩行者に衝突した事故の裁判例です。

歩道において歩行者と対向自転車が接触した事故

裁判所が認めた慰謝料と損害額

裁判所は、入院慰謝料300万円、後遺障害慰謝料2400万円を含む6223万9845円を損害として認めました。