自転車同士の正面衝突で、一方が無灯火、右側走行であった事故

岡山地裁平成25年 3月21日判決(交通事故民事裁判例集46巻2号)

事案

夜間、前照灯を点灯させて走行する自転車と、前照灯を点灯させず、道路右側を走行する自転車正面衝突をした、自転車同士の交通事故です。

以下の事情が考慮されています。

  • 自転車の無灯火での走行
  • 自転車の道路の右側通行
自転車同士(歩道上)の裁判例
自転車同士(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は自転車30%対自転車70%

自転車30% 対 自転車70%

裁判所の判断

裁判所は、過失割合について以下のとおり判断しました。

「原告及び被告は、ともに前方から進行してくる相手方の足踏自転車の動静に注意して進行すべき義務を怠ったものであり、この点で双方に過失が認められる。これに加え、被告は、本件事故の時刻及び現場の状況にかんがみ、前照灯を点灯して進行すべき義務があるところ、これを怠った過失がある。また、被告は、本件車道の進路方向に向かって右側部分を走行したものである。足踏自転車の走行実態に照らすと、道路の右側を走行することにつき、自動二輪車や原動機付自転車の場合のごとき批判はできないものの、右側を通行する以上は、より一層進路前方の状況に注意を払い、早めに路側帯へ待避し、あるいは進行速度を適切に調節するなどして事故回避に努めるべきである。ところが、被告はかかる事故回避措置を怠ったと認められる。以上、双方の過失を対比すると、過失割合は原告が三、被告が七の関係にあると評価することができる。」
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解説

概要

自転車同士の正面衝突事故について、一方の自転車が無灯火で右側通行をしていたことから70%の過失を認めたものです。

無灯火について

自転車も夜間にライトをつける法律上の義務があります。

夜間にライトをつけるのは発見されやすくするためであり、無灯火での走行は大変に危険なものです。

被告が無灯火で走行していたことを過失として評価しています。

⇒自転車の無灯火については自転車が夜間にライトをつけることは法律上の義務か?で解説しています。

左端走行義務について

自転車は道路の左側端を走行する義務があります。

道路の右側を走行していたことが過失として評価されています。

⇒自転車の車道の走行については自転車が道路を通行するときのルールは?で解説しています。

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