青信号を表示した直後に駆け出した歩行者に自転車が衝突した事故

東京地裁平成23年7月6日判決(自保ジャーナル1862号)

事案

転車が対面信号が青であることを確認してから交差点に進入したところ、歩行者が横断歩道の信号が青になった直後に駆け出して横断を開始し、自転車が歩行者に衝突したという(つまり、自転車が交差点を進行中に、自転車の対面信号が青から黄、黄から赤へと変わったものである)、自転車対歩行者の交通事故です。

自転車と歩行者(歩道上)の裁判例
自転車と歩行者(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は歩行者0%対自転車100%

歩行者0% 対 自転車100%

裁判所の判断

裁判所は、歩行者の過失について以下のとおり判断して過失相殺を行いませんでした。

「仮に、本件交差点の大きさに照らし、原告は対面信号が青信号を表示するまでに本件交差点を通過することができない自転車の存在に配慮する必要があったと言えるとしても、これを考慮して損害賠償の額を定めることは相当ではない。」

なお、本件では、駐車車両の存在により、自転車から歩行者が発見しにくい状況であったという事情も考慮されています。

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解説

概要

歩行者は青信号で横断歩道を横断していることから、自転車側の事情を踏まえても過失相殺を行う必要はないと判断したものです。

歩行者の道路横断について

歩行者が道路を横断するにあたり、青信号を表示するまでに交差点を通過することができない自転車に配慮する必要があるとしましたが、過失相殺を行うまでの過失とは評価しませんでした。

⇒歩行者の道路の横断については歩行者は道路をどのように横断しなければならないのか?で解説しています。

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裁判例①

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