スマホを使用しながら自転車に乗ってもいいの?

弁護士 髙橋裕也

執筆者:西宮原法律事務所

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自転車とスマホ

スマホで通話をしたり、スマホの操作をしながら自転車に乗ることは違法なのでしょうか。

また、スマホを使用中に自転車事故を起こしてしまったときに、損害賠償請求における過失割合に影響するのでしょうか。

ここでは、自転車とスマホの使用について、法律上の問題点について解説していきます。

このページで解決するお悩み

  1. スマホを使いながら自転車に乗ることは違法であることがわかる
  2. スマホを使いながら自転車に乗っていた事故の過失割合がわかる

スマホを使用しながら自転車を運転することは違法なのか?

携帯電話を使用しながら自転車を運転することは違法なのでしょうか?

自転車を運転する者が守るべき遵守事項として道路交通法71条6項は以下のとおり規定し、罰則として5万円以下の罰金と定めています。

第71条
6 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項

大阪府道路交通規則13条は、公安委員会が定めた事項として、以下のとおり規定しています。

第13条

法第71条第6号の規定により車両等の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。

(中略)

(3)携帯電話用装置を手で保持して通話し、又は画像表示用装置を手で保持してこれに表示された画像を注視しながら自転車を運転しないこと。

引用元:大阪府道路交通規則

このように、「携帯電話用装置を手で保持して通話」「画像表示用装置を手で保持してこれに表示された画像を注視」しながら自転車を運転してはならないとされており、スマホで通話したり、スマホを操作したりしながら自転車を運転することは違法なのです。

スマホを操作する「ながら運転」について、大阪府警察の説明を引用します。

次のような行為をしながらの運転は、注意が散漫になったり、安定を失うおそれがあるなど大変危険なので絶対にやめましょう!

道路交通法第71条第6号
大阪府道路交通規則第13条
罰則:5万円以下の罰金

(中略)

携帯電話を手で保持して通話をしたり、メールをしながら自転車を運転しないこと。

引用元:大阪府警察、自動車の交通安全ルールブック

スマホを操作しながら自転車を運転することは、注意が散漫になるなど事故発生の危険が高まりますので、絶対にしないようにしましょう。

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スマホを使用して自転車事故を起こしたときの過失

スマホを使用して自転車の交通事故を起こした場合、過失割合はどのようになるのでしょうか。

自転車事故の損害賠償請求では、被害者の損害がそのまま賠償金として認められるのではなく、過失割合に応じて賠償金が減額されることになります。

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過失割合の考え方や、参考となる裁判例について解説していきます。

自転車対歩行者の事故

自転車と歩行者の事故の過失割合については、別冊判例タイムズ38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準・全訂5版」で基本過失割合と修正要素が示されています。

自転車をスマホを使いながら運転していたことは、自転車運転者の「著しい過失」という修正要素とされており、基本過失割合から10%の修正をする(自転車側の過失を重くする)ことになっています。

スマホの通話や操作は違法ですし、運転に影響を与えて事故発生の危険を高めるため、このような扱いとなっているのです。

自転車対自転車の事故

自転車同士の事故の過失割合については、自転車と歩行者の事故と違い別冊判例タイムズ38に記載がありません。

そこで、「自転車同士の事故の過失相殺基準(第一次試案)」(赤本 下巻 )というものを参考にし、過失割合について検討していくことになります。

自転車をスマホを使いながら運転していたことは、片手運転よりも危険であるため「重過失」と評価して、基本過失割合から20%の修正を行うべきという考えが示されています。

片手でハンドルを操作することで運転が不自由になるだけでなく、周囲への注意や配慮を欠きながらの運転になることを重視した考えです。

関連する裁判例

自転車運転者がスマホを操作していた事故について、参考になる裁判例を紹介します。

裁判例①

自転車で下り坂を無灯火、携帯電話を操作しながら対向歩行者に衝突した事故

自転車と歩行者(車道上)の裁判例
自転車同士(歩道上)の裁判例

裁判例②

自転車同士の歩道上の正面衝突事故で,一方がスマホを操作中だった事故

自転車同士(歩道上)の裁判例
自転車同士(車道上)の裁判例

加害者がスマホを操作していたことの証明方法

加害者がスマホを操作して事故を起こしたことを証明するには、どうしたらよいのでしょうか。

まず、加害者が保険会社に対して正直に申告していることが考えられます。

この場合、保険会社もスマホ操作を前提にして過失割合を検討することになります。

加害者が保険会社に申告していなくても、警察に話しているときは刑事記録に記載されている可能性があります。

事故について警察で作成された刑事記録を入手し、「スマホを見ながら進行した地点」などといった記載がないか確認する必要があります。

まとめ

スマホで通話したり、操作したりしながら自転車に乗ることは違法です。

自転車事故が発生したときも、スマホの使用が過失とされてしまい、過失割合が重くなってしまいます。

これは、自転車に乗りながらスマホを使用することが事故発生の危険を高めるためですから、絶対にこのような運転をしないようにしましょう。

弁護士 髙橋裕也

執筆者

西宮原法律事務所
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2007年に弁護士登録後、大阪の法律事務所で交通事故事件を中心とした弁護士業務を行う。
弁護士として15年以上の経験があり、自転車事故の損害賠償事件を多く扱うとともに、自転車事故の専門サイトを立ち上げ、自転車事故の被害者に向けた情報を発信している。
大阪弁護士会の「分野別登録弁護士名簿」に「交通事故分野」で登録しており、大阪弁護士会のホームページに実務経験として自転車事故の解決実績を掲載している。

弁護士(大阪弁護士会所属 登録番号35297)

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