店舗前の歩道において自転車同士が正面衝突をした事故の事例
東京地裁平成24年3月16日(自保ジャーナル1871号)
事案
店舗前の歩道において、自転車を運転して駐輪スペースを探し、スペースを発見したためハンドルを少し左に向けたところ、前方から走行してきた自転車と衝突したという、自転車同士の交通事故です。
以下の事情が考慮されていますので、類似の事故で参考になる事例です。
- 進路を変更した自転車の正面衝突事故
- 対向車が自車に気付いていないことの認識
過失割合
自転車45% 対 自転車55%
裁判所の判断
裁判所は、過失割合について以下のとおり判断しました。
解説
概要
一方の自転車は駐輪スペースを探していて前方不注視の過失が認められるとし、他方の自転車はそうした様子を認識しながら回避措置をとらなかった過失があるとしています。
前方確認義務について
自転車の運転者は「他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」とされており、安全運転義務が課せられています(道路交通法70条)。
自転車の前方を注視しながら走行する義務は、こうした安全運転義務を根拠とするものです。
原告、被告とも前方注視義務違反があるとしましたが、被告は原告が前を見ていないことを認識していたとして過失割合に差をつけています。
裁判所が認めた慰謝料と損害額
裁判所は、通院慰謝料150万円、後遺障害慰謝料495万円を含む、合計2198万8042円を損害として認め、過失相殺後の金額を1209万3423円としました。