歩道上を走行する自転車と、歩道に飛び出した歩行者が衝突した事故

東京地裁平成26年1月29日判決(自保ジャーナル1919号)

事案

自転車通行可の歩道上で、歩道の中央から車道寄りではない部分を走行する自転車と、歩道上へ飛び出した歩行者が衝突した、自転車と歩行者の交通事故です。

自転車と歩行者(歩道上)の裁判例
自転車と歩行者(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は歩行者5%対自転車95%

歩行者5% 対 自転車95%

裁判所の判断

裁判所は過失相殺について以下のとおり判断して、歩行者の過失を5%としました。

「本件事故は、自転車歩道通行可の交通規制のある歩道上における歩行者と自転車の衝突事故であるが、被告は、自転車の運転車として、自転車が歩道を通行することができる場合であっても、当該歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければならず、自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは一時停止しなければならないにもかかわらず(道交法63条の4参照)、歩道の中央から車道寄りではない部分の側端から僅か0.7メートルの地点を進行し、本件交差点角付近の左右の見とおしのきかない場所から本件歩道に進入する歩行者の有無、動静等の安全を確認しないまま進行した過失がある。本件交差点付近の状況に照らすと、被告が本件歩道外の敷地から歩行者が歩道に侵入してくる可能性を予測することはできたというべきであり、また、本件歩道の中央から車道寄りの部分を徐行していれば、本件事故を回避することができたということができるから、被告が本件歩道を徐行していたことを踏まえても、本件歩道の中央から車道寄りの部分を進行せず、一時停止をしなかった被告の過失は重いというべきである。他方、原告(本件事故当時63歳)には、見とおしのきかない柱付近から本件歩道に飛び出した過失がある。」
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解説

歩道の通行について

自転車は原則として歩道を通行することはできませんが、歩道通行可と指定された歩道であれば通行することができます。

自転車が歩道を通行するときでも、自転車は歩行者の優先、徐行義務、走行位置など、厳しいルールを守らなければなりません。

⇒自転車の歩道通行については自転車は歩道を通行できるのか?で解説しています。

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