一時停止なく駐輪場から歩道へ進入した自転車が歩行者に衝突した事故

神戸地裁平成26年8月29日判決(自保ジャーナル1935号)

事案

被害者が歩道を歩行中、駐輪場から歩道に進入してきた自転車に接触されたという自転車と歩行者の交通事故です。

自転車と歩行者(歩道上)の裁判例
自転車と歩行者(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は歩行者0%対自転車100%

歩行者0% 対 自転車100%

裁判所の判断

裁判所は以下のとおり判断して過失相殺を行いませんでした。

「被告は、被告自転車で路外の本件駐輪場から本件歩道を横断するに当たり、本件歩道に入る直前で一時停止し(道路交通法17条1項、2項参照),歩行者の安全を確認すべき注意義務があるのに、これを怠り、本件駐車場の出入口に設置されているゲートの内側で再度一時停止することなく、歩行者の安全確認が不十分なまま本件歩道に進入し、本件歩道を西に向かって走行してきた原告の通行を妨害した過失があるといえ、その注意義務違反の程度は大きい」とし、歩行者の過失については「本件歩道上を通常の速度で走行してきたものであり、当時、被告自転車が本件駐車場から鉄板のスロープを通過して来る際には相当大きな音がするため、これに気付いて直ちに停止するなどしていれば、本件事故を回避できた可能性があることは一応認められるものの、軽車両である被告自転車を運転するに当たっての被告の注意義務違反の内容・程度等に鑑みると、原告に過失相殺の対象としなければならない程の過失があったとは認め難い
電話での簡単なご質問にも対応!お気軽にご相談ください
お電話で無料相談
LINEで無料相談

解説

概要

裁判所は、歩行者にも事故を回避できた可能性は一応認められるものの、自転車側の過失と比較すれば過失相殺を行うほどの過失ではないと判断したものです。

歩道の通行について

自転車は原則として歩道を通行することはできませんが、歩道通行可と指定された歩道であれば通行することができます。

自転車が歩道を通行するときでも、自転車は歩行者の優先、徐行義務、走行位置など、厳しいルールを守らなければなりません。

⇒自転車の歩道の通行については自転車は歩道を通行できるのか?で解説しています。

類似の裁判例

裁判例①

歩道上の歩行者に自転車が衝突した事故の裁判例です。

歩道上の歩行者に交差点から歩道に進入した自転車が衝突した事故

裁判所が認めた慰謝料と損害額

裁判所は、通院慰謝料18万円を含む25万2670円を損害として認めました。