左折自転車と直進自転車が出会頭に衝突した事故

東京地裁平成25年10月28日判決(自保ジャーナル1912号)

事案

T字路交差点において,左折自転車直進自転車が出会頭に衝突した、自転車同士の交通事故です。

以下の事情を考慮しています。

  • 自転車の徐行義務違反
  • 自転車の道路の右側走行
自転車同士(歩道上)の裁判例
自転車同士(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は自転車50%対自転車50%

自転車50% 対 自転車50%

裁判所の判断

裁判所は左折自転車の過失について以下のとおり判断しました。

「前示事実関係によると、被告は、自転車を運転して本件交差点に左折進入するにあたり、左方の見通しが不良であったから、交差する南北道路から本件交差点に進入してくる車両の有無及び動静を確認すべき義務があるのにこれを怠り、左方から進入してくる車両はないものと軽信し、専ら右方に注意を払って漫然と本件交差点に左折進入した結果、本件事故を発生させたと推認することができ、民法709条に基づき、原告が本件事故により被った損害を賠償すべき責任を負うというべきである」

裁判所は過失割合について以下のとおり5割と判断しました。

「原告も、自転車を運転して本件交差点に直進進入するに当たり、右方の見通しが不良であったから、適宜速度を調節しつつ、交差する東西道路から本件交差点に進入してくる車両の有無及び動静を確認すべき義務があるのにこれを怠り、右方から進入してくる車両はないものと軽信し、漫然と本件交差点に直進進入した(原告本人尋問の結果中にも徐行しなかったことを自認する旨の供述部分がある。)結果、本件事故を発生させたと推認することができ、本件事故の発生につき相当の落ち度があるというべきである」

直進自転車と左折自転車の衝突事故ではありますが、直進自転車の走行状況(道路の右方を走行し、徐行していなかった)を踏まえて、直進自転車にも相当の落ち度があると判断したものです。

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解説

左端走行義務について

自転車は道路の左側端を走行する義務があります。

道路の右側を走行していたことが過失として評価されています。

⇒自転車の車道の走行については自転車が道路を通行するときのルールは?で解説しています。

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