歩道上において自転車と携帯電話を操作する歩行者が衝突した事故

福岡地裁平成26年1月15日判決(ウエストロー、判例秘書)

事案

歩道上において、携帯電話を操作する歩行者の直前で、自転車が左折したことにより衝突したという、自転車と歩行者の交通事故です。

以下の事情が考慮されていますので、参考にしてください。

  • 自転車の歩道通行
  • 歩行者が携帯電話を操作しながら歩行
自転車と歩行者(歩道上)の裁判例
自転車と歩行者(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は歩行者10%対自転車90%

歩行者10% 対 自転車90%

裁判所の判断

裁判所は過失割合について以下のとおり判断しました。

「本件歩道上を本件自転車に乗って通行中,対向方向から携帯電話を操作しながら歩いてくる原告の直前を左折したことにより本件自転車を原告に衝突させたものであるところ,Aが原告を認識した際の本件自転車と原告との距離は2.8メートルにすぎなかったこと及びその後Aは原告の動静に注意を払うことなくその直前を左折したこと(上記1(1)イ)によれば,原告主張事故の主要な発生原因は,Aが,歩道上を走行中であるにもかかわらず,十分な注意を払わずに歩行者の直前で無理な左折をしたことにあると認めるのが相当である。」

「もっとも,歩道上を通行する歩行者といえども,周囲の安全を確認しながら通行すべきであることは当然であるし,また,周辺道路の状況からして本件自転車が本件歩道上を走行すること自体が違法であるともいえないから(A証言及び弁論の全趣旨),携帯電話の操作に集中して前方に注意を払うことなく歩行していた原告についても,原告主張事故について何らの責任がないということはできない。
(3)上記事情を総合すると,原告主張事故におけるAと原告との過失割合は,A9:原告1と認めるのが相当である。」

電話での簡単なご質問にも対応!お気軽にご相談ください
お電話で無料相談
LINEで無料相談

解説

概要

自転車と歩行者の歩道上での衝突事故です。

歩行者が携帯電話の操作をして周囲の安全確認が不十分であったことを理由に10%の過失を認めています。

歩道の通行について

自転車は原則として歩道を通行することはできませんが、歩道通行可と指定された歩道であれば通行することができます。

自転車が歩道を通行するときでも、自転車は歩行者の優先、徐行義務、走行位置など、厳しいルールを守らなければなりません。

被告が歩道内の歩行者に注意を払わず無理な左折をしたことが過失として評価されています。

⇒自転車の歩道通行については自転車は歩道を通行できるのか?で解説しています。

  • 自転車は歩道を通行しているのに、歩行者の前で無理な左折を行った過失がある
  • 歩行者にも携帯電話の操作をしていて前方を注視していなかった過失がある

類似の裁判例

裁判例①

歩道上で歩行者が携帯電話を使用していたところ自転車が衝突したという事故の裁判例です。

歩道で携帯電話を使用する歩行者に自転車が衝突した事故

裁判所が認めた慰謝料と損害額

裁判所は、通院慰謝料40万円を含む109万0336円を損害として認め、過失相殺後の金額を98万1302円としました。