自転車同士の出会頭衝突で左側通行違反等から過失を85%と認定した裁判例

神戸地裁平成26年3月28日判決(自保ジャーナル1925号)

事案

T字路交差点自転車同士が出会頭に衝突した、自転車同士の交通事故です。

以下の事情を考慮しています。

  • 自転車の一時停止義務違反
  • 自転車の左側通行義務違反
自転車同士(歩道上)の裁判例
自転車同士(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は自転車15%対自転車85%

自転車15% 対 自転車85%

裁判所の判断

自転車が、左側通行義務違反をして交差道路からT字路交差点へ進入した事案において、左側通行義務違反を過失としてどの程度重視すべきかについて以下のとおり判断しました。

右左折のために交差道路からT字路交差点に進入しようとする車両は、通常の十字路交差点と比較すると、交差道路の対向から進行してくる車両に注意を払う必要がない分、直線路を通行する車両に対して注意がしやすいといえる。また、直線路を直進してくる車両は徐行すると考えるのが一般的である。」「そして、自転車は自動車と比較すると速度が遅いため、周囲に対する注意も払いやすく、制動距離も短いことからすると、本件のような自転車対自転車の事故の場合には、自動車対自動車の場合ほどに、交差道路から進入した車両の責任を重くみる必要はないともいえる。もっとも、このような自転車の特性に照らせば、直線路からみて左方に位置する交差道路から進入した自転車が、当該道路の左側、右側のいずれを通行していたかは、直線路を走行する自転車にとって、衝突の回避可能性に大きな違いをもたらすといえるから、交差道路を走行していた自転車に左側通行義務違反があるという事情は、直線路を走行していたのが自動車である場合よりも重視すべきである
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解説

概要

裁判所は、被害者に右方不注視のほか、一時停止義務違反、左側通行義務違反の過失があったとして、85%の過失相殺を行ったものです。

左端走行義務について

自転車は道路の左側端を走行する義務があります。

道路の右側を走行していたことが過失として評価されています。

⇒自転車の左側通行義務違反については自転車は道路をどのように通行しなければならないのか?で解説しています。

自転車の一時停止について

自転車も一時停止の指定のある交差点では一時停止をする義務があります。

原告に一時停止違反が認められることから過失相殺が行われています。

⇒自転車の一時停止については自転車も交差点で一時停止の必要があるの?で解説しています。

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