交差点手前で道路を横断する歩行者に、交差点を直進する自転車が衝突した事故

神戸地裁平成21年3月25日判決(交通事故民事裁判例集42巻2号)

事案

歩行者交差点手前において道路を横断していたところ、自転車が下り坂を下って同交差点を直進進行してきて衝突したという、自転車と歩行者の交通事故です。

以下の事情が考慮されていますので、類似の事故で参考にしてください。

  • 歩行者が信号のない交差点を横断
  • 自転車の高速度走行
  • 自転車が広路を通行
自転車と歩行者(歩道上)の裁判例
自転車と歩行者(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は歩行者30%対自転車70%

歩行者30% 対 自転車70%

裁判所の判断

裁判所は、過失割合について以下のとおり判断しました。

「本件事故は、信号機により交通整理の行われていない交差点を横断していた歩行者である原告と交差道路を直進して来た被告運転の自転車である被告車とが衝突した事故である。そして、被告車が相当程度の速度で進行していたことや南北道路が東西道路よりも相当程度広いことなどを勘案すれば、原告の過失割合は、三〇パーセントであると認めるのが相当である。」
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解説

概要

裁判所は、被告車が下り坂で相当程度の速度で進行していた一方で、被告車が走行していた道路が広路であることを踏まえ、交差点を横断していた歩行者にも30%の過失があるとしたものです。

自転車の速度について

自転車の一般的な速度は時速約15㎞とされ、自転車が徐行する速度(直ちに停止できるような速度)は時速6~8㎞と考えられています。

自転車が相当程度の速度で走行していたことを考慮しています。

⇒自転車の速度については自転車事故で問題となる自転車の速度は?で解説しています。

広路の優先について

交差点を通行するときは、明らかに広い道路を進行してくる自転車が優先とされています(道路交通法36条3項)。

自転車が直進していた道路が交差道路より相当程度広いことが考慮されています。

⇒交差点の広路の優先については自転車が交差点を通行するときのルールは?で解説しています。

類似の裁判例

裁判例①

歩行者が丁字路交差点を横断していたところ直進自転車が衝突した事故の裁判例です。

丁字路交差点を横断する歩行者に直進自転車が衝突した事故

裁判例②

歩行者が道路の横断を開始したところ自転車に右足を轢かれたという事故の裁判例です。

道路の横断を開始した歩行者が自転車に右足を轢かれた事故

裁判所が認めた慰謝料と損害額

裁判所は、入通院慰謝料187万、後遺障害慰謝料400万円を含む1696万5869円を損害として認め、過失相殺後の金額を1187万6108円としました。