横断歩道上で高齢女性の自転車を後行の自転車が追い抜く際に衝突した事故の事例

大阪地裁平成25年6月18日判決(自保ジャーナル1911号)

事案

横断歩道上を先行する80歳女子の運転する自転車が右側にぶれ、追い抜こうとしていた後行の自転車が衝突した、自転車同士の交通事故です。

以下の事情が考慮されており参考になる事例です。

  • 先行する自転車の走行のぶれ
自転車同士(歩道上)の裁判例
自転車同士(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は自転車50%対自転車50%

自転車50% 対 自転車50%

裁判所の判断

裁判所は過失割合について以下のとおり判断しました。

「ア 丁山は、走行中は進路をぶらしたりなどして後続車に誤解を与えたり、その進路を妨害したりしないようにする義務があるのに、後続車に誤解を与える形で右側に進路のぶれを生じさせ、被告車両の進行を妨害した上、更に被告が右側から追い抜きをかけてくる状況に十分注意を払い、自車の前方に出てくることを予想した上で、適宜減速などの措置を講じて衝突を回避すべき義務があったのに、その動静に関する注意を十分に払わず、漫然と進行した結果本件事故に至ったものであり、最初のきっかけは丁山側であるとうかがわれることに照らしても、その過失は小さくない。

イ 一方、被告としては前方に高齢者の自転車が走行しているのであるから、その動静には十分注意を払い、多少相手の進路に狂いが生じても問題がないような間隔を保って走行すべきであったのに、不用意に近づいたという面があり、きっかけに関しても必ずしも丁山の一方的な過失というわけでもない。加えて、1度そのような形で妨害を受けたと感じた以上、原告車両がその後どのように動いたか、またどのように動こうとしているかについて細心の注意を払い、それ以上の錯綜を防止すべきであったのに、その注意をほとんど払わず、原告車両の動静を確認しないまま、自車の進路だけに気を取られて、左前方から接近してきていた原告車両の想定進路にかぶさる形で、その右側から強引に抜き去りをかける形になるような進行をした結果、右へのぶれを修正しなかった原告車両と衝突する形になったのであり、やはりその過失は無視できない。

ウ 以上を総合して考えると、本件における双方の責任は、丁山が高齢者であることも考慮に入れると、結果的にほぼ五分であるというべきであり、本件の過失割合は、丁山5、被告5とするのが相当である。」

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解説

概要

前方を走行する自転車は追い抜かれたわけですが、右側に進路のぶれを生じさせ、また、後続から追い抜こうとする自転車の動静に関する注意を払っていなかったとして、高齢者であることも考慮して5対5の過失割合であると判断したものです。

高齢者修正について

被害者が高齢者であるときは、高齢者であることを理由に過失割合を小さくする修正が行われます。

本件でも高齢であることが考慮されています。

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裁判例①

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