自転車を押す歩行者に自転車が衝突した事故

大阪地裁平成26年3月25日判決(自保ジャーナル1924号)

事案

自転車を押していた歩行者が現場にある柱の横ぎりぎりを右に曲がろうとして進行したところ、同柱の横ぎりぎりを走行してきた自転車に衝突されたという、自転車と歩行者の交通事故です。

自転車と歩行者(歩道上)の裁判例
自転車と歩行者(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は歩行者20%対自転車80%

歩行者20% 対 自転車80%

裁判所の判断

裁判所は、過失割合について以下のとおり判断しました。

「(被告は)本件事故現場にある柱Aの前を左折する形で進行するに際し,歩道の車道側(外側)を進行すべき注意義務や,柱Aの陰から出てくるかもしれない歩行者や自転車の有無及びその安全を確認して進行すべき注意義務があったのに,これを怠り,歩道の内側の柱Aの横ぎりぎりを,その陰から出てくるかもしれない歩行者等の有無安全を確認しないまま進行した過失により,本件事故を発生させたといえるから,民法709条に基づく損害賠償責任を負う。」
「他方,上記認定の本件事故態様に照らせば,原告も,原告自転車を押して本件事故現場にある柱Aの前を右折する形で進行するに際し,柱Aの陰から出てくるかも知れない歩行者や自転車の有無及びその安全を確認しないまま,柱Aの横ぎりぎりを進行した点で,過失ないし落ち度があったといわざるを得ない。
「被告と原告の過失の内容程度,特に,被告は被告自転車に乗っていたのに対し,原告は原告自転車を押して歩いていたことなどに照らせば,本件事故の過失割合は,被告:原告=8:2とみるのが相当である。」
電話での簡単なご質問にも対応!お気軽にご相談ください
お電話で無料相談
LINEで無料相談

解説

概要

自転車を押しているものは歩行者とみなされます(道路交通法2条3項)

両者とも歩道の柱の横ぎりぎりの場所を進行しており、十分な安全確認を行うべき状況であったことを考慮しています。

歩道の通行について

自転車は原則として歩道を通行することはできませんが、歩道通行可と指定された歩道であれば通行することができます。

自転車が歩道を通行するときでも、自転車は歩行者の優先、徐行義務、走行位置など、厳しいルールを守らなければなりません。

通行区分違反を過失として評価しています。

⇒自転車の歩道通行については自転車は歩道を通行できるのか?で解説しています。

裁判所が認めた慰謝料と損害額

裁判所は、入通院慰謝料250万円,後遺障害慰謝料280万円を含む1569万1384円を損害として認め、過失相殺後の金額を1255万3107円としました。