交差点を赤信号で横断した自転車と、赤点滅信号で進入した自転車が衝突した事故

大阪地裁平成28年4月14日判決(自保ジャーナル1977号)

事案

信号の設置された交差点において、歩行者・自転車用信号が赤信号で横断歩道の横断をした自転車と、車両用信号が赤点滅信号で交差点に進入しようとした自転車が衝突したという、自転車同士の交通事故です。

以下の事情が考慮されていますので、類似の事故で参考にしてください。

  • 自転車の歩行者用赤信号横断
  • 自転車の車両用赤点滅信号での交差点進入
自転車同士(歩道上)の裁判例
自転車同士(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は自転車15%対自転車85%

自転車15% 対 自転車85%

裁判所の判断

裁判所は、赤点滅信号側の自転車の過失について以下のとおり示しました。

対面の車両用信号は赤色点滅を表示していたから、道路交通法上、軽車両として車両に含まれる被告車を運転する被告としては、本件横断歩道2の手前で一時停止をし、前方左右の安全を確認した上で進行すべき注意義務があった(道路交通法7条、4条4項、同法施行令2条1項)。しかるに被告は、これを怠り、本件交差点に進入するに当たり、減速して徐行したとはいえ、一時停止をせず」「衝突することはないだろうと軽信し、その動静を注視して十分に安全確認をすることなく進行した結果、本件事故を発生させたものであり、本件事故の発生について、被告に過失があることは明らかである」

裁判所は、赤信号側の自転車の過失について以下のとおり示しました。

自転車は、歩道を通行するときは、中央より車道寄りの部分を徐行しなければならない上(道路交通法63条の4第2項)、当時、本件横断歩道2に設置された歩行者・自転車用信号は赤色を表示していたから、Aとしては、徐行の上、信号表示に従って、本件横断歩道2の横断を始めることなく、その手前で停止すべき注意義務があった(道路交通法7条、4条4項、同法施行令2条1項)」「信号表示に従って停止することなく進行し、本件事故に至ったものであり」「横断に当たり、徐行もしていなかったことが推認される」

裁判所は、過失割合について以下のとおり判断しました。

「本件事故は、被告の前記過失とAの上記過失が競合して発生したものであるが、両者の過失の内容・程度を比較すると、赤色の信号表示に従わず、横断を開始・継続したAの過失の方が相当大きいことは明らかであり、Aが徐行もしていなかったことを併せると、その損害賠償額の算定に当たっては、Aの上記過失を斟酌して、85%の過失相殺をするのが相当である」

裁判所は、横断歩道を赤信号で横断した自転車の過失が相当大きいことは明らかであるとして、85%の過失を認めたものです。

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解説

概要

赤信号側の自転車と、赤信号点滅側の自転車の衝突事故です。

赤信号点滅側も一時停止をしていなかったことから15%の過失が認められています。

信号について

信号が赤点滅しているときは一時停止の義務があります。

一時停止をしなかったことを過失とみる一方で、赤信号無視の過失の方が相当に大きいと判断しました。

  • 自転車も車両であるから、赤点滅の信号で一時停止する義務があり、徐行しただけで進行した過失がある
  • 自転車は赤信号で停止する義務があり、赤信号で進行した過失は極めて大きい

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裁判例①

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