歩道から車道へ進出した自転車と、車道を走行する原付バイクが衝突した事故

大阪地裁平成28年2月18日判決(自保ジャーナル1974号)

事案

歩道を走行していた自転車車道へ進出したところ、車道を走行していた原付自転車が後方から衝突したという、自転車と原付自転車の交通事故です。

以下の事情が考慮されていますので参考にしてください。

  • 自転車対原付自転車の事故
  • 自転車の歩道から車道への進入
自転車と自動車・単車の裁判例

過失割合

原付自転車10% 対 自転車90%

裁判所の判断

裁判所は、自転車が車道を走行する車両の有無を確認せず、かく、一時停止や減速をすることなく車道へ進出したと認定した上で、過失割合について以下のとおり判断しました。

「被告には、被告自転車で走行するに当たり、同自転車のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない注意義務がある(道路交通法70条)。しかるに、被告は、被告自転車にて本件歩道を西進し、東西道路の西行き車線を走行してくる車両の有無等の確認もせず、かつ、一時停止や減速をすることなく東西道路に進入し、原告原付と衝突したものであるから、本件事故の発生について、大きな過失があることは明らかである」

「一方、原告も、原告原付を運転するに当たり、同車のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない注意義務がある。しかるに、原告は、進路左前方の本件歩道を走行する被告自転車の存在に気付くのが遅れ、本件事故を惹起したものと認められるから、原告には前方不注視の過失がある。」

「本件事故は、原告の過失と被告の過失が競合して発生したものであるが、両者の過失の内容・程度を比較すると、その過失割合は、原告が1割、被告が9割とするのが相当である」

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解説

概要

裁判所は、「本件事故現場付近には街灯が設置されていたこと、被告自転車がライトを点灯して走行していたこと等に鑑みれば、原告において、被告自転車の存在に気付き、その動向に注意しながら走行することが可能であったといえるから、本件事故を回避する可能性がなかったと認めるには足りず」として、自転車の過失が大きいとしながらも、原付自転車を過失なしとはせず、1割の過失を認めたものです。

安全運転義務について

自転車の運転者は「他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」とされており、安全運転義務が課せられています(道路交通法70条)。

自転車はこうした義務を果たさず車道に進出しており大きな過失があると判断したものです。

類似の裁判例

裁判例①

歩道から車道へ進出したところ、車道を走行する自転車に衝突したという事故の裁判例です。

車道を走行する自転車に、歩道から車道に進入してきた自転車が衝突した事故