自転車便の自転車の事故において会社に使用者責任(民法715条)が認められた裁判例

東京地裁判決25年8月6日判決(自保ジャーナル1908号)

事案

自転車便の運転手が、自己所有の自転車に乗って事務所に向かう途中に歩行者に衝突した、自転車対歩行者の交通事故です。

その他の裁判例は

自転車事故の過失割合の裁判例

裁判所の判断

会社の使用者性が争われ、裁判所は以下のとおり判断しました。

「前記(1)の認定事実によれば、訴外戊田は、被告の自転車便の運転手として稼働する際、被告から借り受けた無線機を常時携帯し、主として無線機によって被告から指示・確認を受けて荷物の受取先や配送先に赴いており、待機時間中においても、原則として無線のつながる場所において待機していたことが認められる。しかも、訴外戊田は、被告の自転車便の運転手として稼働する日ごとに、被告の事務所において無線機を借り受け、稼働後に無線機を返却していたことが認められる。このような事実関係の下においては、訴外戊田と被告との間には、その契約形態のいかんを問わず、実質的に指揮命令関係があったものと認められ、民法715条における使用関係があったものと認められる」

裁判所は、被告会社の主張する時間的拘束の緩やかさを考慮してもなお、実質的な指揮命令関係があるとしたものです。

裁判所が認めた慰謝料と損害額

裁判所は、入院慰謝料370万円、後遺傷害慰謝料2800万円を含む9615万8297円を損害として認めました。