見通しのきかない交差点において自転車同士が衝突した事故

東京地裁平成25年6月27日判決(ウエストロー、判例秘書)

事案

見通しのきかない交差点において自転車同士が衝突したという、自転車同士の交通事故です。

  • 見通しのきかない交差点
自転車同士(歩道上)の裁判例
自転車同士(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は自転車10%対自転車90%

自転車10% 対 自転車90%

裁判所の判断

裁判所は、道路の状況を踏まえ、過失割合について以下のとおり判断しました。

「本件事故は,本件緑道の見通しのきかない交差点において発生したものであり,控訴人は,自転車を運転して本件緑道を走行し,本件交差点の手前に差し掛かった時点においてパイルコーンや木橋の存在等進路前方の道路の状況を観察すれば,交差道路の存在を予測することが十分可能であったものといえるから,本件交差点に進入するに当たり,交差道路を進入する車両等の有無,動静等の進路前方の安全を確認し,進路を調整して徐行すべき注意義務があるのに,これに違反し,徐行もすることなく漫然と自転車を走行させた過失があるというべきである。他方,被控訴人は,本件交差点は住宅の塀や植込みの茂みにより本件緑道の見通しがきかないのであるから,本件緑道を進行する自転車や歩行者の有無,動静等を確認してから本件交差点に進入すべき注意義務があるのに,これに違反し,自転車を本件交差点に進入させた過失があり,これも本件事故の一因となったことは否定できないものというべきである(被控訴人が徐行して本件交差点に進入したことが上記判断を左右するものではない。)。
上記認定の本件事故態様及び注意義務違反の程度によると,過失割合は,控訴人につき90%,被控訴人につき10%と認めるのが相当である。」
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解説

概要

交差点における自転車同士の衝突事故ではあるものの、一方の道路にはパイルコーンや木橋が存在することなどから、そちらの道路を通行してきた自転車の過失を重くみて過失割合を90%対10%と判断したものです。

徐行義務違反について

自転車は左右の見通しのきかない交差点に進入するときは徐行しなければならないとされています(道路交通法42条)

控訴人が徐行せず安全確認不十分なまま交差点に進入したことが徐行義務に違反すると判断されました。

⇒交差点の徐行義務については自転車が交差点を通行するときのルールは?で解説しています。

類似の裁判例

裁判例①

傘を差した自転車同士が、見通しの悪い交差点で衝突したという事故の裁判例です。

傘差し自転車同士が見通しの悪い交差点で衝突した事故

裁判所が認めた慰謝料と損害額

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