青信号で横断する歩行者と自転車が正面衝突した事故

東京地方裁判所平成29年9月20日判決(ウエストロー)

事案

横断歩道を横断する歩行者に、対向する自転車が正面から衝突したという、自転車と歩行者の交通事故です。

以下の事情が考慮されているので、自転車事故の過失割合でお悩みの方は参考にしてください。

  • 横断歩道における事故
  • 歩行者と自転車の正面衝突
自転車と歩行者(歩道上)の裁判例
自転車と歩行者(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は歩行者0%対自転車100%

歩行者0% 対 自転車100%

裁判所の判断

裁判所は以下のとおり判断して過失相殺を認めませんでした。

「本件事故は、被告が、被告自転車を運転するに際し、青信号に従って本件横断歩道の横断を開始した原告の動静を注視し、その安全を確認しながら進行すべき注意義務があるのに、これを怠り、原告の動静を注視せず、その安全を十分に確認しないまま漫然と進行させたことにより生じたものであるから、被告の一方的な過失によるものであり、原告に過失はなく、被告の過失相殺の主張は採用することができない。」
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解説

概要

歩行者は青信号に従って横断歩道を横断しているだけなので、自転車側の一方的な過失による事故として過失相殺を行いませんでした。

歩行者も危険な動きをすれば過失相殺が行われる可能性はありますが、本件はそのような事案ではなかったものです。

歩行者が予見困難な動きをし、自転車にとって衝突の回避が困難であったという事情が必要となり、歩行者に過失が認めれるケースは極めて少ないように思います。

安全運転義務について

自転車の運転者は「他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」とされており、安全運転義務が課せられています(道路交通法70条)。

自転車の周囲の安全を確認しながら走行する義務は、こうした安全運転義務を根拠とするものです。

被告には安全運転義務違反があり、被告の一方的な過失により事故が発生したとされました。

  • 青信号で横断する歩行者と自転車との関係で、自転車側の責任を大きいとしたものです

類似の裁判例

裁判例①

横断歩道を横断中の歩行者に、自転車が斜め後方から衝突した事故の裁判例です。

自転車と歩行者の横断歩道上での事故であることが共通しています。

横断歩道を横断中の歩行者に自転車が衝突した事故

裁判所が認めた慰謝料と損害額

裁判所は、入通院慰謝料149万円を含む190万6377円を損害として認め、過失相殺を行いませんでした。

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