横断歩道を横断中の歩行者に自転車が衝突した事故

大阪地裁平成25年1月28日判決(自保ジャーナル1898号)

事案

歩行者横断歩道ないしそのすぐ横を歩行していたところ、斜め後方から自転車が進行してきて衝突した、自転車と歩行者の交通事故です。

以下の事情が考慮されています。

  • 歩行者が横断歩道を渡るため進行方向を変えた
自転車と歩行者(歩道上)の裁判例
自転車と歩行者(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は歩行者0%対自転車100%

歩行者0% 対 自転車100%

裁判所の判断

自転車側が、歩行者は自転車の前方に突然飛び出してきたから3割の過失割合があると主張したのに対し、裁判所は以下のとおり判断しました。

「被告は、横断歩道横で原告が被告自転車の進路前方に突然飛び出してきたとして、原告にも3割の過失割合がある旨主張する。しかし、人通りの多い横断歩道上やその横で、歩行者が進路を若干変えることがあることは通常のことであり、自転車運転車としては当然予見しておかなければならないことであるところ、本件証拠上、原告が、通常予見しておくべき範囲を超える程に不規則な動きをしたことを認めるに足りる的確な証拠はない。また、本件事故現場は、横断歩道上ないしその横であって、横断歩行者の存在が予定されていない程に横断歩道から離れていたわけではない。そうすると、原告は、通常の歩行者と同じように、横断歩道上ないしその横を歩行していたにすぎない(その中で、通常あり得る範囲を超える程に不規則な動きをしたとは認められない。)のであり、原告に、過失相殺すべき程の過失があったということはできない。」
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解説

裁判所は、人通りの多い歩道上やその横で、歩行者が進路を若干変えることは通常のことであるとして、歩行者に過失相殺すべき程の過失はないと判断しました。

⇒歩行者の道路の横断については歩行者は道路をどのように横断しなければならないか?で解説しています。

類似の裁判例

裁判例①

歩行者に自転車が正面から衝突した事故の裁判例です。

青信号で横断する歩行者と自転車が正面衝突した事故