マンションの敷地から公道にでた自転車と、公道を走る自転車が衝突した事故

東京地裁令和元年5月17日判決(ウエストロー)

事案

自転車が私有地から公道へ進入し、公道を直進してきた自転車と衝突した、自転車対自転車の交通事故です。

以下の事情が考慮されているので、類似の事案で参考にしてください。

  • 自転車同士の出会い頭の衝突事故
  • 私道から公道へ進入した自転車の事故
  • ミラーが設置されている
自転車同士(歩道上)の裁判例
自転車同士(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は自転車10%対自転車90%

自転車10% 対 自転車90%

裁判所の判断

裁判所は過失割合について以下のとおり判断しました。

被告は、マンション敷地内の本件通路から本件公道に進入する際に、見通しのきかない右方から本件公道を進行してくる車両の有無及び動静を注視して進行すべき義務を怠った過失がある。

本件通路は、その体裁及び利用状況に照らして道路(一般交通の用に供する場所)に当たると考えられるが、私有地内にあり、本件公道と比べて幅が狭く、本件通路から本件公道の見通しが悪いことを考慮すれば、本件通路から本件公道に進入するに当たっては、特に十分な安全確認が要求されるというべきである。

そうすると,被告の過失は重く,本件事故の発生につき主たる過失は被告にあるといえる。

他方で、原告にも、本件通路と本件公道の角にミラーが設置されていること等から本件通路を進行して本件公道に進入する車両があることを予測し、十分に注意して進行すべき義務を怠った過失があるというべきである

前記のとおりの本件事故の態様、双方の過失の内容・程度等を勘案すると、本件事故における双方の過失割合は、原告10%、被告90%とするのが相当である。

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解説

本件では、道路の交わる交差点での事故と考えるか、道路外から道路へ進入してきた自転車の事故と考えるか争いになりました。

裁判所は、被告が通行してきたのは道路交通法上の道路に当たるとしましたが、私有地内にあること、幅が狭いこと、見通しが悪いことを考慮して、道路外からの進入と同程度に被告の過失を重くみたものです。

交差点であるか、路外からの進入であるかによって、過失割合を機械的に考えるのではなく、具体的な事故現場の状況を踏まえた判断であり、同様の事案で参考になります。

また、ミラーが設置されていることから、公道に進入する車両が存在することを予測して、注意する義務があるとされており、公道を直進してきた側にとって不利な事情として評価しています。

類似の裁判例

裁判例①

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歩道を進行する自転車の後輪に、路外から進出してきた自転車が接触した事故

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