自転車事故でも被害者が大怪我をしてしまい、高額の通院慰謝料や、後遺障害による後遺障害慰謝料が認められることはあるのでしょうか?
自転車の交通事故でも、自動車の事故と同じように、入院、通院の期間が長くなったり、重い後遺障害が認められて高額の慰謝料が認められることがあります。
自転車事故の事例を紹介し、自転車事故の慰謝料や後遺障害がどのように認定されるのか説明していきます。
このページで解決するお悩み
- 自転車事故の慰謝料の事例がわかる
- 慰謝料の相場が事例でわかる
後遺障害等級12級の事例
京都地裁平成24年3月7日判決
傷害慰謝料
原告は、本件事故により左大腿骨頸部骨折の傷害を負いました。
裁判所は、治療期間は長いが実日数は少ないことなどを踏まえ、慰謝料を163万円と認定しました。
後遺障害慰謝料
裁判所は、股関節の可動域制限につき、主要運動である屈曲・伸展は対象数値をわずかに上回るが、参考運動である内旋・外旋が3/4以下に制限されているとして、後遺障害等級12級に相当するものと認定しました。
後遺障害慰謝料として280万円を認定しました。
後遺障害等級11級の事例
神戸地裁平成21年3月25日判決
傷害慰謝料
原告は、道路を歩行して横断していたところ、自転車が下り坂を直進してきて衝突されるという事故に遭い、左眼窩骨折、左頬骨骨折、左下顎骨骨折等の傷害を負いました。
裁判所は、事故態様、被告の過失の内容、怪我の程度等を勘案して、入通院慰謝料は187万円が相当であると認めました。
後遺障害慰謝料
裁判所は、原告に残存する左頬骨の変形、顔面の醜状痕につき後遺障害等級12級相当、顔面局部の頑固な神経症状につき後遺障害等級12級相当の後遺障害を認めました。
後遺障害は併合11級に相当するものとして、後遺障害慰謝料として400万円を認めました。
後遺障害等級10級
大阪地裁平成28年9月16日判決
傷害慰謝料
原告は、自転車同士の正面衝突事故で、左鎖骨遠位端骨折、左耳介挫創、右手関節挫傷の傷害を負いました。
裁判所は、最終通院日を症状固定日として、約8ヶ月間の通院による入通院慰謝料を140万円と認めました。
後遺障害慰謝料
裁判所は、原告が左鎖骨遠位端骨折の傷害を負い、左肩の可動域が健側の1/2に制限されていることから、後遺障害は後遺障害等級10級10号(1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの)に該当すると認めるのが相当と判断しました。
後遺障害の内容、程度等を考慮して、後遺障害慰謝料を530万円と認定しました。
後遺障害等級8級
東京地裁平成6年10月18日
傷害慰謝料
原告は、Y字交差点での自転車同士の衝突事故で、胸腹部打撲、頭部打撲、左眼窩内壁骨折等の傷害を負いました。
裁判所は、入通院の日数、治療の経過を考慮して、入通院慰謝料として150万円を認めました。
後遺障害慰謝料
裁判所は、原告の左眼の失明、涙管の欠如につき後遺障害等級8級に相当すると判断し、後遺障害慰謝料として750万円を認めました。
後遺障害等級5級
神戸地裁平成26年3月28日判決
傷害慰謝料
被害者は、丁字路交差点での自転車同士の衝突事故で脳挫傷等の傷害を負いました。
裁判所は、被害者は47日間入院し、約15か月間通院したものの、長期化した通院には他覚所見のない神経症状についての通院治療も含むことから、入通院慰謝料として216万円を認めました。
後遺障害慰謝料
裁判所は、被害者が外傷後てんかん等の障害につき、労災で後遺障害等級5級の認定を受けていることから、後遺障害につき同様の認定を行い、後遺障害慰謝料として1440万円を認めました。
後遺障害等級2級
大阪地裁平成23年 7月26日判決
傷害慰謝料
原告は、歩道上で歩行中に、自転車に正面から衝突されるという事故に遭い、脳挫傷等の傷害を負いました。
裁判所は、入通院期間が長期にわたることを踏まえ、入通院院慰謝料として300万円を認めました。
後遺障害慰謝料
裁判所は、原告には著しい判断力の低下や情動の不安定などがあり一人で外出することができず、身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないとして、原告の後遺障害は後遺障害等級2級3号に相当するとしました。
後遺障害慰謝料として2400万円を認めました。
後遺障害等級1級
東京地裁平成27年9月25日判決
傷害慰謝料
被害者は、交差点における自転車同士の衝突事故で、脳挫傷、急性硬膜外血腫、頭蓋骨骨折の傷害を負いました。
裁判所は、被害者の傷害の内容及び程度、入院状況(症状固定まで約6か月で、症状固定後も入院)のほか、加害者の態度が著しく不誠実であることから、入通院慰謝料を300万円と認めました。
後遺障害慰謝料
裁判所は、被害者が症状固定時において、①右完全片麻痺、左不全片麻痺であるが、MMT(徒手筋力テスト)2以下で全肢廃用、②意識障害のため、他人とのコミュニケーション不能、③経口摂取不能のため、経管栄養施行、④呼吸障害のため、気管切開施行という状態にあったことから、後遺障害等級別表第1の第1級1号に該当すると認めました。
裁判所は、被害者の後遺障害の内容及び程度のほか、本件事故後の加害者の態度から、後遺障害慰謝料を3000万円と認め、被害者の子ども二人について、被害者の後遺障害の内容及び程度のほか、本件事故後の加害者の態度から、固有の慰謝料として各200万円を認めました。
まとめ
自転車事故の裁判で、後遺障害が認められ、慰謝料が認定された事例を紹介してきました。
自転車事故では自賠責保険で後遺障害の審査を受けることができないため、後遺障害について適切な賠償を受けるには十分な準備が必要となります。
自転車事故で大きなお怪我をされた方は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。