歩道上で自転車を押していた歩行者に自転車が衝突した事故

大阪地裁平成25年8月30日判決(自保ジャーナル1911号)

事案

歩道上自転車を押していた歩行者に、前方から進行してきた自転車が衝突した、自転車と歩行者の交通事故です。

自転車と歩行者(歩道上)の裁判例
自転車と歩行者(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は歩行者0対自転車100%

歩行者0% 対 自転車100%

裁判所の判断

被告は、原告が歩道の中央を歩行していたため、自転車が避けるのは不可能であったとして過失相殺を主張しました。

裁判所の判断は以下のとおりです。

「証拠(略)及び原告の供述によれば、本件事故現場は、大阪市a区方面から同市b区方面に向かう道路の外側に設けられた歩道上であること、同歩道は、幅員が約2.5メートルで、歩道外側(左側)には高さ1メートルのコンクリート擁壁とその上に高さ1メートルの金網フェンスが設置されていること、同歩道は、同市b区方面に向かって進行すると、本件事故現場付近で左に大きく湾曲しているため前方の見通しが不良であり、かつ、約4%の勾配で下り坂になっていること、原告は、本件事故当時、自転車の左側に立ってこれを押し、同歩道の中央付近を同市a区方面に向かって歩いていたが、本件事故現場で対向してきた被告車に衝突され、約1.5メートル後方に転倒したことの各事実が認められる。

被告は、前記のとおり主張して2割の過失相殺を主張するが、被告車を運転し、左に大きく湾曲した前方の見通しが悪い急な下り坂を進行するに当たり、前方左右を注視せず、進路の安全を十分確認しないまま、目線を下に向けながら適宜速度を調節することなく漫然と時速約20キロメートルで進行した被告の過失は重大であり、これとの対比において、原告に過失相殺の対象となるような落ち度があるとは認め難いから、被告の上記主張は採用できない。」

裁判所は歩行者側に過失相殺の対象となるような落ち度があるとは認め難いとして過失相殺を認めませんでした。

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解説

歩道の通行について

自転車は原則として歩道を通行することはできませんが、歩道通行可と指定された歩道であれば通行することができます。

自転車が歩道を通行するときでも、自転車は歩行者の優先、徐行義務、走行位置など、厳しいルールを守らなければなりません。

⇒自転車の歩道通行については自転車は歩道を通行できるのか?で解説しています。

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