丁字路において右折自転車と左折自転車が出合い頭に衝突した事故

東京地裁平成7年9月26日判決(交通事故民事裁判例集28巻5号)

事案

丁字路交差点において、右折自転車左折自転車出合い頭に衝突した、自転車同士の交通事故です。

以下の事情が考慮されていますので、類似の事故で参考にしてください。

  • 自転車の早回り右折
自転車同士(歩道上)の裁判例
自転車同士(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は自転車50%対自転車50%

自転車50% 対 自転車50%

裁判所の判断

裁判所は過失割合について以下のとおり判断しました。

「本件交差点は、A道路が別紙図面の左の方向に延びる直線道路であつて、そこにB道路が突き当たり路として交差するものであるが、B道路が本件交差点から別紙図面の左の方向に直角に曲がつているところに狭路であるA道路が交差するものとも評価し得るところである。しかし、そのいずれにせよ、B道路から右折してA道路に進入するためには、B道路の右側を通行していわゆる早回りをすることは許されないものというべきである。しかるに、被告は、本件交差点を右側から進入したことのため、原告自転車との衝突を招来したものであつて、被告の右義務違反による過失責任は免れない。この点、原告は、被告が道路交通法34条3項に定める走行方法をすべきであつたと主張するが、本件のような信号により交通整理の行われていない、住宅地にある幅員約6メートルないし約4メートルで中央線も引かれていない道路の交差点において、同項に定める通行方法をとることを期待することは困難であり、この点は、後記の過失相殺の点では考慮しないこととする。」

「他方、原告も、A道路からB道路に左折するに当たり、本件交差点手前で進入に備えて減速したことを認めるに足りる証拠はないのであり、かつ、若干左側というもののA道路のほぼ中央を走行したのであつて、B道路側の道路事情の確認を不十分のまま本件交差点に進入しようとしたものと言わざるを得ず、このような停止義務違反、前方注視義務違反も本件事故の原因となつていることは明らかである。」

「被告の過失と原告の過失の双方を対比して勘案し、また、前認定の本件交差点の状況も斟酌すると、本件事故で原告の被つた損害については、その五〇パーセントを過失相殺によつて減ずるのが相当である。」

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解説

概要

裁判所は、右折自転車が「早回り」をしたこと、左折自転車が道路のほぼ中央を走行したことなどを考慮し、過失を同程度とする判断を行いました。

早回り右折について

自転車の交差点での右左折の方法は道路交通法34条に規定されています。

本件では交差点の状況を踏まえ、二段階右折による必要まではないとされました。

⇒自転車の交差点での右左折については自転車が交差点を右左折する方法は?で解説しています。

左端走行義務について

自転車は道路の左側端を走行する義務があります。

道路の中央を走行していたことが過失として評価されています。

⇒自転車の車道の走行については自転車が道路を通行するときのルールは?で解説しています。

  • 自転車が右折をする際の早回り右折については過失として評価したが、二段階右折を行わなかったことについては期待できないとして考慮しなかった
  • 道路中央を通行して、安全確認が不十分なまま左折したことを過失とした

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裁判例①

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