歩道を直進する自転車と、駐車場から歩道へ進出した自転車が衝突した事故の事例
令和2年3月24日東京地裁判決(ウエストロー)
事案
自転車が歩道を直進していたところ、駐車場から歩道へ進行してきた自転車と衝突したという、自転車同士の交通事故です。
過失割合を自転車10%対自転車90%しました。
以下の事情が考慮されていますので、類似する事故の過失割合で参考になる事例です。
- 歩道を通行する自転車同士の事故
- 被害者が高齢者であることの考慮
- 道路外から歩道への進入するときの責任
過失割合
自転車10% 対 自転車90%
裁判所の判断
裁判所は、歩道を走行するに当たっては、マンション敷地内通路の出入口があったのだから、歩道へ進入してくる車両があることも想定して走行する義務があったとして、歩道を通行していた自転車側にも10%の過失を認めました。
解説
概要
本件事故現場は自転車通行不可の歩道ですが、被害者が70歳であり自転車で歩道を通行することが認められるという事情がありました。
その他、接触を回避することが困難な事情はあるものの、駐車場から出入口であり自転車が歩道へ出てくることも想定できたとして、10%の過失相殺が認められたものです。
自転車の歩道の通行
自転車は原則として歩道の通行不可とされていますが、自転車通行可とされた歩道などでは通行することもできます。
ただし、自転車が通行できる歩道でも、歩道の中央より車道寄りを徐行し、歩行者の通行を妨げない義務があり、厳しい条件に従う必要があります。
自転車の歩道上の事故では、自転車が通行できる歩道であり、そうした厳しい条件を守って走行しているかが問題となります。
自転車と歩行者の事故であれば、自転車がそうした条件を守って走行していたかが過失割合に大きく影響します。
また、自転車同士の事故であっても、一方の自転車が条件を守らずに走行してきて交差点に進入した場合などでは、過失割合に影響を与える事情となります。
関連するページ
類似の裁判例
裁判例①
公園から歩道へ進行した自転車と、歩道を直進する自転車が衝突した事故です。
⇒歩道を進行する自転車の後輪に、路外から進出してきた自転車が接触した事故の裁判例
裁判所が認めた慰謝料と損害額
裁判所は、入通院慰謝料116万円、後遺傷害慰謝料550万円を含む1234万2198円を損害として認め、過失相殺後の金額を1110万7979円としました。