直進自転車とゴミ収集車の陰から飛び出した歩行者が衝突した事故

大阪地方裁判所平成22年11月25日判決(交通事故民事裁判例集43巻6号)

事案

自転車がゴミ収集車の横を直進通過しようとしたところ、ゴミ回収にあたっていた者が同車の陰から出てきたため衝突したという、自転車と歩行者の交通事故です。

以下の事情が考慮されていますので、参考にしてください。

  • 歩行者の急な飛び出し
自転車と歩行者(歩道上)の裁判例
自転車と歩行者(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は歩行者60%対自転車40%

歩行者60% 対 自転車40%

裁判所の判断

裁判所は、過失割合について以下のとおり判断しました。

「パッカー車の陰から原告自転車進路上に出るに当たって、その安全を十分確認しなければならないものであり、そのような注意を払うべきことは業務上当然に理解されているものであって、これを怠って急にパッカー車の陰から道路上に出た格好になる被告Y1の行動は、飛び出しに近い態様として、その過失の程度は大きいといわなければならない。しかし、他方で、自転車を走行させていた原告も、パッカー車が路上に停止しているのを目にすれば、ごみ回収作業員が作業している最中であることを容易に想像することができ、パッカー車の陰から突然現れる場合に備えて、パッカー車から大きく離れて自転車を走行させていれば本件事故の発生を回避できた可能性も否定できないし、道路交通法上「車両」と規定されている自転車を運転している原告としては、走行中に周囲の状況及び通行上の安全に注意を払いながら運転すべき注意義務があるにもかかわらず、それを十分に果たさなかったと評価される側面があることは否定できない。
これらの諸事情を総合勘案し、本件事故における過失割合は、原告が4割、被告Y1が6割であると解するのが相当である。」
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解説

前方確認義務について

自転車の運転者は「他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」とされており、安全運転義務が課せられています(道路交通法70条)。

自転車の前方を注視しながら走行する義務は、こうした安全運転義務を根拠とするものです。

パッカー車の陰から歩行者が出てきたわけですが、前方注視義務違反が認められると判断されました。

裁判所が認めた慰謝料と損害額

裁判所は、傷害慰謝料175万円、後遺障害慰謝料400万円を含む1580万3973円を損害として認め、過失相殺後の金額を948万2383円としました。