カーブミラーの設置された交差点で自転車同士が出会い頭に衝突した事故

千葉地裁平成25年4月25日判決(自保ジャーナル1902号)

事案

見通しの悪い交差点において、道路右側を走行する自転車と、道路のほぼ中央を走行する自転車が衝突したという、自転車同士の交通事故です。

以下の事情が考慮されています。

  • 自転車の高速度走行
  • 自転車の道路の右側通行
自転車同士(歩道上)の裁判例
自転車同士(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は自転車50%対自転車50%

自転車50% 対 自転車50%

裁判所の判断

裁判所は、過失割合について以下のとおり判断しました。

「原告は、本件交差点手前で、路面表示に従って一時停止したが、本件交差道路の見通しが悪いにもかかわらず、左右確認をするためには明らかに不十分なカーブミラーを一瞥しただけで、目視による安全確認を全くせず、道路の右側を漫然と進行し、本件事故を惹起した点で過失があると認められる。

また、被告には、b道路の見通しが悪いにもかかわらず、下り坂の本件交差道路で減速措置を一切講じず、道路のほぼ中央を時速約20キロメートルの速度で漫然と走行し、前方不注視のために原告自転車の発見が遅れ、本件事故を惹起した点で過失がある。

以上を総合勘案すれば、原告と被告の過失の程度は相等しいと評価するべきであり、過失割合は50対50と認めるのが相当である。」

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解説

概要

道路右側を走行した自転車と、道路中央を高速度で走行した自転車の衝突事故です。

双方の過失を具体的に検討し、同程度の過失であると結論づけたものです。

自転車の一時停止について

自転車も一時停止の指定のある交差点では一時停止をする義務があります。

また、道路交通法上の一時停止の義務がない交差点であっても、一時停止の看板やペイントがあることが、過失割合において考慮されることがあります。

本件では一時停止はしたものの安全確認が不十分であったとされています。

⇒自転車の一時停止については自転車も交差点で一時停止の必要があるの?で解説しています。

徐行義務違反について

自転車は左右の見通しのきかない交差点に進入するときは徐行しなければならないとされています(道路交通法42条)

見通しの悪い交差点を通行するにあたり、時速約20キロメートルの速度で走行したことが考慮されています。

⇒交差点の徐行義務については自転車が交差点を通行するときのルールは?で解説しています。

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裁判所が認めた慰謝料と損害額

裁判所は、入通院慰謝料127万9665円、後遺障害慰謝料290万円を含む929万6832円を損害として認め、過失相殺後の金額を464万8416円としました。