路側帯において歩行者に自転車が正面から衝突した事故

大阪地裁平成10年6月16日判決(交通事故民事裁判例集31巻3号)

事案

路側帯において歩行者自転車正面から衝突したという、自転車と歩行者の交通事故です。

以下の事情が考慮されていますので、類似の事案で参考にしてください。

  • 歩行者が手を組んで歩いており、転倒の際に地面に手をつけなかった
自転車と歩行者(歩道上)の裁判例
自転車と歩行者(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は歩行者20%対自転車80%

歩行者20% 対 自転車80%

裁判所の判断

裁判所は、自転車側には前方不注視の過失があるとした上で、過失相殺について以下のとおり判断しました。

「他方において、原告も路側帯付近を歩行する以上、進路前方から自転車が進行してくることは予想されるから、進路前方を注視し、適切な回避措置を採るとともに、転倒の際にも手を地面につくなりして転倒の衝撃をやわらげることが期待されたというべきであるところ、仮に原告がこのような対応をしていれば、本件事故を避けることができたか、あるいは少なくとも、傷病の程度を軽くすることができたものと認められるから、原告に生じた損害の全てを被告らの負担とすることは公平を失するといわざるを得ない。
したがって、本件においては、右一切の事情を斟酌し、2割の限度で過失相殺を行うのが相当である。」
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解説

概要

裁判所は、歩行者側にも前方不注視の過失があり、また、転倒の際に手をついていないことなど(歩行者は手を組んだ状態で歩いていた)を考慮したものです。

路側帯の通行について

自転車も路側帯を通行することができますので、歩行者としては自転車が進行してくることは予想できるといえます。

原告には前方を注視して回避措置をとることもできたことなどから過失相殺が行われています。

⇒自転車の路側帯の通行については自転車は道路をどのように通行しなければならないのか?で解説しています。

⇒歩行者の路側帯の通行については歩行者は道路をどのように通行しなければならないか?で解説しています。

裁判所が認めた慰謝料と損害額

裁判所は、傷害慰謝料15万円を含む33万6362円を損害として認め、過失相殺後の金額を26万9089円としました。