歩道上を同一方向に進行する自転車同士が衝突した事故

東京地裁平成26年3月12日判決(自保ジャーナル1925号)

事案

歩道上同一方向に進行する自転車同士が衝突した、自転車同士の交通事故です。

以下の事情を考慮していますので、類似の事故で参考にしてください。

  • 自転車同士の追い抜きの際の事故
  • 前方自転車のふらつき
  • 自転車の傘差し運転
自転車同士(歩道上)の裁判例
自転車同士(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は自転車0%対自転車100%

自転車0% 対 自転車100%

裁判所の判断

裁判所は、追越自転車と被追越自転車が衝突した事故における、追越自転車の過失について、以下のように述べました。

自転車は、その性質上、走行時に不安定になりやすいものであり、走行中であっても、必ずしも一直線に進行するわけではなく、若干ふらつきながら進行せざるを得ないものである。したがって、追越自転車が被追越自転車を追い越そうとする場合には、自らの進行もまた不安定であることも踏まえ、被追越自転車と十分な側方間隔を保持し、その安全を確保して進行しなければならない。一方、被追越自転車からみると、被追越自転車が追越自転車の存在を確認することができるのは、追越自転車が追越しに当たってベルを鳴らすなどの行為がない限り、追越自転車が被追越自転車の側方に並行し、並進状態となってからのものとなると考えられるから、それまでの間、又は、その後直ちに、追越自転車との衝突を回避すべく適切な措置を講じることは困難な状況にあるといわざるを得ない。そうすると、自転車が他の自転車を追い越そうと並進する形になった場合において、どちらか一方又は双方の自転車の通常程度のものといえる程度のふらつきにより接触が生じたときは、同接触事故は、基本的には追越自転車の過失によるものと評価することが相当である
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解説

概要

裁判所は、追越自転車の運転者が傘を持ち片手で運転していたことも踏まえ、被追越自転車の運転者について過失相殺を行わなかったものです。

歩道の通行について

自転車は原則として歩道を通行することはできませんが、歩道通行可と指定された歩道であれば通行することができます。

自転車が歩道を通行するときでも、自転車は歩行者の優先、徐行義務、走行位置など、厳しいルールを守らなければなりません。

⇒自転車の歩道通行については自転車は歩道を通行できるのか?で解説しています。

傘差し運転について

双方とも傘差し運転を行っていた事故です

追越し自転車が傘差し片手運転をしていたことが考慮されています。

⇒自転車の傘差し運転については自転車の傘差し運転は許されるか?で解説しています。

類似の裁判例

裁判例①

歩道上で自転車同士の追い抜きの際の事故の裁判例です。

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裁判例②

二人乗り自転車の追い抜きの際の事故の裁判例です。

二人乗り自転車と追い抜き自転車が接触した事故

裁判所が認めた慰謝料と損害額

裁判所は、傷害慰謝料75万円、後遺障害慰謝料75万円を含む167万8835円を損害として認めました。