自転車で下り坂を無灯火、携帯電話を操作しながら対向歩行者に衝突した事故

横浜地裁平成22年4月14日判決(自保ジャーナル1830号)

事案

夜間に下り坂を無灯火で、携帯電話を操作しながら、時速20㎞で走行する自転車が、対向歩行者に衝突したという、自転車と歩行者の交通事故です。

以下の事情が考慮されていますので、参考にしてください。

  • 自転車の無灯火での走行
  • 自転車の携帯電話を操作しながらの走行
  • 自転車の高速度走行
自転車と歩行者(歩道上)の裁判例
自転車と歩行者(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は歩行者0%対自転車100%

歩行者0% 対 自転車100%

裁判所の判断

自転車側は正面衝突であるため過失相殺を主張したが、裁判所は以下のとおり過失相殺を認めませんでした。

「以上によれば、本件は、被告が夜間の暗い道路で、しかも下り坂を自転車で下るに際し、無灯火でしかも携帯電話の操作をしながら、前方の確認を欠き、時速約20キロメートルの速度で、自転車を運転し、衝突直前に原告を認めたが、何らの回避措置を採る暇もなく対向歩行してきた原告に衝突したというものであって、専ら、被告の過失によるものであることは明らかである。

被告は、原告は、対向車とすれ違うために道路中央に出るに際し、前方から進行してくる自転車等に注意を払うべきであったにも拘わらず、漫然と道路中央に進出し、自転車が進行してくるのを認めることができたならば、路傍に待機するか、左あるいは右に一歩避けることによって、容易に衝突を回避することができたというべきであるとして、原告の過失を主張するが、無灯火で、前記速度で坂を下ってくる自転車の存在を予測すべき注意義務はない。原告としては、自転車を認めた瞬間、危険を感じてその場に立ちすくんだようであるが、この点を考慮しても、避けることができなかった事故であるというべきである。」

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解説

概要

裁判所は、歩行者について、無灯火で、時速20㎞もの速度で坂を下ってくる自転車の存在を予想すべき義務はないとして、歩行者側の過失を認めなかったものです。

無灯火について

自転車も夜間にライトをつける法律上の義務があります。

夜間にライトをつけるのは発見されやすくするためであり、無灯火での走行は大変に危険なものです。

被告が無灯火で走行していたことを重大な過失として評価しています。

⇒自転車の無灯火については自転車が夜間にライトをつけることは法律上の義務か?で解説しています。

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