歩道のある道路で自転車が歩行者に車道上で衝突した事故
令和2年6月15日東京地裁判決(自保ジャーナル2077号)
事案
歩道のある道路において、自転車が歩行者に車道上で衝突したという、自転車対歩行者の交通事故です。
以下の事情が考慮されていますので参考にしてください。
- 歩行者が歩道のある道路で車道を通行
- 歩行者が高齢者
過失割合
歩行者 20% 対 自転車 80%
裁判所の判断
裁判所は、自転車側の過失について、前方の歩行者等の動静に注意して走行すべき義務を怠った過失は大きいとしました。
歩行者側の過失については、歩道ではなく車道を歩行しており、後方から走行してくる車両が予想されるところ、その動向に注意する義務を怠った過失があるとしました。
歩行者が高齢であることや、後方車への注意が相当に逸れていたことなども考慮し、過失割合を歩行者20%対自転車80%としたものです。
解説
概要
自転車が歩行者に後方から追突した事故ですが、歩道のある道路で車道を通行していたことが考慮され20%の過失相殺が行われています。
基本過失割合
自転車と歩行者の事故の過失割合については、別冊判例タイムズ38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準・全訂5版」で基本過失割合と修正要素が示されています。
車道と歩道の区別のある道路において、車道上で発生した事故の基本過失割合は、歩行者25%対自転車75%とされています。
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歩行者の車道通行
歩行者は、歩道と車道の区別のある道路では、歩道を通行する義務があります。
車道を通行することは、車道を走行する車両との関係で事故発生の危険を生じさせるものですし、事故が発生したときには過失として評価されることになります。
車道を通行することにつきやむを得ない事情があれば別となりますので、そのような事情につき刑事記録や現場写真で立証することが考えられます。
また、工事を行っていたのであれば、道路使用許可について情報開示を求め、それに基づき立証することも考えられます。
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類似の裁判例
裁判例①
路側帯で歩行者と自転車が正面衝突した事故です。
⇒路側帯において歩行者に自転車が正面から衝突した事故の裁判例
裁判所が認めた慰謝料と損害額
裁判所は、入通院慰謝料120万円を含む130万3545円を損害として認め、過失相殺後の金額を104万2836円としました。