二人乗り自転車と追い抜き自転車が接触した事故

東京地裁平成22年1月12日判決(自保ジャーナル1827号)

事案

歩道において先行する二人乗り自転車を、後方から走行してきた自転車が追い抜こうとしたところ、先行自転車がふらついたため両車が接触した、自転車同士の交通事故です。

以下の事情が考慮されていますので、参考にしてください。

  • 自転車の二人乗り
  • 歩道での自転車の追い抜き
  • 先行自転車のふらつき
自転車同士(歩道上)の裁判例
自転車同士(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は自転車40%対自転車60%

自転車40% 対 自転車60%

裁判所の判断

裁判所は双方の過失割合について以下のとおり判断しました。

「上記(1)の認定事実によれば、被告については、被告自転車を運転するに当たっては、そもそも2人乗りのような危険な運転方法を採ってはならない上、自車の側方等の周囲の状況に十分注意して被告自転車を走行させる義務があるのに、これらを怠り、2人乗りの被告自転車を右側にふらつかせ、右後方から被告自転車を追い抜こうとしていた原告自転車の左側面に被告自転車の右側面を接触させ、本件事故を惹起させた過失があるというべきである。

他方、原告についても、幅員の狭い歩道内で被告自転車を追い抜こうとするに際しては、被告の注意を喚起するためにベルを鳴らすなど安全な方法と速度で走行する義務があるにもかかわらず、ベルを鳴らすことなく、被告自転車よりも速い速度で追い抜こうとしたために、被告自転車との接触時にブレーキをかけるなどの適切な措置を採ることができず、接触場所から5.4メートル(×地点から⑤地点までの距離)進行しバリケードに衝突するまで原告車を停止させることができなかったことに過失がある。

そして、上記認定の双方の過失に照らせば、本件事故発生に係る原告の過失割合は4割、被告の過失割合は6割であると認められ、原告の損害額については上記過失割合に従って過失相殺をするのが相当である。」

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解説

概要

裁判所は、被告自転車は二人乗りをしていたが、原告自転車も追い抜きの際にベルを鳴らしていないなどの過失があるとして、過失割合を6対4と判断したものです。

二人乗りについて

自転車の二人乗りは法律で禁止されています。

自転車を二人乗りで走行することは難しく危険を回避することもできません。

被告が二人乗りしていることを過失として評価しています。

⇒自転車の二人乗りについては自転車の二人乗りは違法なの?で解説しています。

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