歩道を進行する自転車の後輪に、路外から進出してきた自転車が接触した事故の裁判例【過失割合10対90】

大阪地裁平成22年1月27日判決(自保ジャーナル1833号)

事案

歩道を進行中の自転車の後輪に、左側公園から侵入してきた自転車の前輪が接触し転倒した、自転車同士の交通事故です。

以下の事情が考慮されていますので、類似の事故で参考にしてください。

  • 自転車の歩道の通行
  • 自転車の歩道への進入
自転車同士(歩道上)の裁判例
自転車同士(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は自転車10%対自転車90%

自転車10% 対 自転車90%

裁判所の判断

裁判所は、両車の過失割合について以下のとおり判断しました。

「前記1(1)で認定した本件事故の態様に照らせば、被告は、足踏自転車で、路外公園敷地内から接面道路である足踏自転車通行可能な歩道に進入し、その道路を走行していた原告車両の後輪左側部分に被告車両の前輪を衝突させ、原告を転倒・負傷させたものであり、原告も足踏自転車通行可能な歩道を進行するのであるから、路外公園から足踏自転車が歩道に急に進出することも想定して前方左右を注視して徐行して進行すべきであったところ、四輪車同士の道路外からの進入車と直進車の事故について、全訂4版別冊判例タイムズ16号【100】及び【101】は、道路外からの進入車について80%の過失割合を基本とするが、本件事故は同種車両の間の事故であることから、これを参考としつつも、本件事故は足踏自転車通行可能の歩道上で発生しており(当然、歩行者が歩行することも想定される)、路外公園から歩行者だけではなく足踏自転車も歩道に進出することも想定されうること(本件では足踏自転車である。双方の注視義務違反、速度不適切が認められる)、足踏自転車同士の場合その速度は比較的遅く進路前方左右を注視していれば比較的事故を回避することが容易であること(本件では双方の注視義務違反が認められる)、足踏自転車は歩道車道を問わず左方右方いずれの方向からの危険な走行が現実になされていることは残念ながら顕著な事実であること(足踏自転車に乗車する者一般の注意義務を強調する方向の事情)、本件においては原告車両の後輪左側に被告車両の前輪が接触していること(被告側の過失割合を加重する方向の事情)などの事情を総合し、原告と被告の過失割合を10%:90%と判断する。」
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解説

概要

加害自転車側は接触の事実を否認していましたが、原告自転車のタイヤにタイヤゴム様のものが付着していること、被告が原告と電話した際に接触の事実を認めていたことなどから、裁判所は両車の接触を認定しました。

裁判所は、自動車同士の事故の過失割合を参考にしつつ、歩道で発生したことや、原告車の後輪に被告車の前輪が接触していることなどを考慮し、上記のとおり判断したものです。

歩道の通行について

自転車は原則として歩道を通行することはできませんが、歩道通行可と指定された歩道であれば通行することができます。

自転車が歩道を通行するときでも、自転車は歩行者の優先、徐行義務、走行位置など、厳しいルールを守らなければなりません。

⇒自転車の歩道通行については自転車は歩道を通行できるのか?で解説しています。

類似の裁判例

裁判例①

歩道上で自転車同士が衝突した事故の裁判例です。

車道から歩道に進行した自転車と、横断歩道横断直後の自転車が衝突した事故