自転車同士の出会頭の衝突事故で一方が傘を差していた事故

東京地裁平成26年4月30日判決(自保ジャーナル1926号)

事案

交差点において自転車同士が出会頭に衝突した交通事故で、一方が傘を差しながら運転していたものであり、自転車同士の交通事故です。

以下の事情が考慮されています。

  • 自転車の傘差し運転
自転車同士(歩道上)の裁判例
自転車同士(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は自転車30%対自転車70%

自転車30% 対 自転車70%

裁判所の判断

裁判所は過失割合について以下のとおり判断しました。

「本件事故は信号機等により交通整理の行われていない交差点において発生したものであり、原告甲野は、本件交差点の左右の見とおしが不良であったにもかかわらず、本件交差点に進入するに当たり、徐行せず、傘を差して原告自転車を運転し、左方から侵入した被告自転車を認めながら回避措置が遅れた過失がある。他方、被告についても、本件交差点入口よりも手前で一時停止した後、本件交差点に進入するに当たり、交差道路の左右の安全を確認しないまま本件交差点に進入した過失がある。

上記認定の本件事故の態様及び注意義務違反の程度に鑑みると、過失割合は、原告甲野につき70%、被告につき30%と認めるのが相当である。」

また、傘差し運転については以下のように述べています。

「原告らは、原告甲野の傘差し運転の態様は、傘を左肩に掛けて、傘の持ち手の部分を左手の親指と人差し指の間で挟むように固定していたというものであり、原告自転車の運転操作は可能であり、傘差し運転が本件事故発生に寄与したものではないと主張する。

しかし、そもそも、傘を差して運転することは道路交通法令上禁止されており(道路交通法71条6号、東京都道路交通規則8条3号)、また、上記認定の本件事故の態様によれば、原告が傘を差して運転していたことは、自転車の運転操作に影響を及ぼし、本件事故発生の一因となったものというべきである。」

電話での簡単なご質問にも対応!お気軽にご相談ください
お電話で無料相談
LINEで無料相談

解説

概要

裁判所は、左方優先と傘差し運転を考慮して30%対70%の過失割合を認定したものです。

傘を差して運転することは道路交通法令上禁止されているとした上で、本件で傘を差して運転していたことは、自転車の運転操作に影響を及ぼし、本件事故が発生する一因となったと示しています。

傘差し運転について

双方とも傘差し運転を行っていた事故です

原告が傘を差していたことは運転に影響を及ぼしていたとして過失として評価しました。

⇒自転車の傘差し運転については自転車の傘差し運転は許されるか?で解説しています。

類似の裁判例

裁判例①

自転車同士が見通しの悪い交差点で衝突した事故の裁判例です。

傘差し自転車同士が見通しの悪い交差点で衝突した事故

裁判所が認めた慰謝料と損害額

裁判所は、傷害慰謝料100万円を含む227万円を損害として認め、過失相殺後の金額を68万1514円としました。