車道を走行する自転車に、歩道から車道に進入してきた自転車が衝突した事故

東京地裁平成20年6月5日判決(自保ジャーナル1748号)

事案

車道直進していた自転車に、歩道から車道に進入してきた自転車正面から衝突したという、自転車同士の交通事故です。

以下の事情が考慮されています。

  • 自転車による道路の斜め横断
  • 自転車横断帯を利用しない道路横断
自転車同士(歩道上)の裁判例
自転車同士(車道上)の裁判例

過失割合

過失割合は自転車50%対自転車50%

自転車50% 対 自転車50%

裁判所の判断

裁判所は過失割合について以下のとおり判断しました。

「被告Y1は,自転車横断帯を利用することなく本件道路を横断しようとするのならば,自車を歩道から車道に進入させるのに先立ち,少なくとも右方から走行してくる車両の有無,動静を十分に注視,確認した上で,車道に進入させるべきであったところ,対面する歩行者用信号の表示は赤信号であり,歩行者用信号Bの表示が青信号であったことから,右方から車両が走行してくることはないものと軽信して,上記のような注視,確認をすることなく,自車を車道に進入させて本件道路を横断しようとしたことから,原告X1運転の自転車と衝突するに至った。」

「被告Y1は,車道に自車を進入させるに際し,上記の注視,確認義務を怠ったものといわざるを得ない。」

「原告X1は,自転車を運転して本件横断歩道を通過させるに際し,被告Y1運転の自転車が車道に進入してきた地点から横断しようとする者がいることを予想して,減速して走行するなど,衝突することを回避する措置を講ずるべき義務があったところ,原告X1がこのような回避措置を講じたことは認められないから,本件事故の発生については原告X1にも一定の落ち度を認めるのが相当である。」

「以上を踏まえ,被告Y1は,交通の頻繁な幹線道路である本件道路を,安全を確認しないまま,自転車横断帯によらず,車道の通行方向に対向する形で斜めに横断しようとしたとの本件事故の発生に関する諸事情を総合考慮すると,本件事故についての過失割合としては,原告X1につき50%程度と認めるのが相当である。」

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解説

前方確認義務について

自転車の運転者は「他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」とされており、安全運転義務が課せられています(道路交通法70条)。

自転車の前方を注視しながら走行する義務は、こうした安全運転義務を根拠とするものです。

本件でも横断自転車の存在を予測して走行する義務があるとされました。

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裁判例①

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