直進自転車と右折自転車が見通しのよくない交差点で衝突した事故の事例
東京地裁平成29年12月26日判決(ウエストロー)
事案
見通しのよくない交差点で、直進自転車と右折自転車が衝突したという、自転車対自転車の交通事故です。
以下の事情が考慮されており、類似の事故で参考になる事例です。
- 見通しのよくない交差点の事故
- 直進自転車と右折自転車の事故
- 自転車の内回り右折
過失割合
自転車40% 対 自転車60%
裁判所の判断
裁判所は過失割合について、以下のとおり判断しました。
解説
概要
見通しの良くない交差点での、直進自転車と右折自転車の衝突事故です(対向自転車ではありません)。
一般に交差点を右左折する側の過失が大きいとされるところ、本件でも右折側の過失割合を60%としています。
交差点を右折するときのルールに反し、交差点の中心よりも若干内側を通行して右折したことも考慮されています。
自転車の交差点での右折方法は、自動車の右折方法と異なるため、内側を通行していたことが過失として評価されるのです。
見通しのよくない交差点の進行
自転車が見通しのよくない交差点を進行するときには徐行をする義務があります(道路交通法42条1項)。
第四十二条 車両等は、道路標識等により徐行すべきことが指定されている道路の部分を通行する場合及び次に掲げるその他の場合においては、徐行しなければならない。
一 左右の見とおしがきかない交差点に入ろうとし、又は交差点内で左右の見とおしがきかない部分を通行しようとするとき(当該交差点において交通整理が行なわれている場合及び優先道路を通行している場合を除く。)。引用元:e-Gov法令検索、道路交通法
本件でも徐行義務違反とはしていませんが、安全確認が十分でなかったことを過失として評価しています。
自転車の交差点の右折方法
自転車が交差点を右折するときには、道路左側端に沿って通行する、いわゆる二段階右折によることとされています。
第三十四条
3 軽車両は、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿って徐行しなければならない。
- 被告が交差点を右折するにあたり、交差点内の安全確認が不十分であるとした
- 原告も見通しのよくない交差点を直進するにあたり、安全確認が不十分であるとした
- 被告が交差点の若干内側を走行して右折したことも考慮した
自転車の見通しのよくない交差点の進行については⇒自転車が交差点を通行するときのルールは?
類似の裁判例
裁判例①
交差点で左折自転車と直進自転車が衝突した事故の裁判例です。
交差点における事故として参考になります。
裁判所が認めた慰謝料と損害額
裁判所は、自転車を運転していた母親につき通院慰謝料99万円を含む122万5549円を損害として認め、過失相殺後の賠償金額を73万5330円としました。
また、自転車に同乗していた幼児についても損害賠償金が認められています。
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