自転車も交差点で一時停止の必要があるの?

弁護士 髙橋裕也

執筆者:西宮原法律事務所

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自転車と一時停止

自転車に乗っていて、一時停止のある交差点に差し掛かったときに、きちんと一時停止をしているでしょうか?

自転車も自動車と同じように一時停止をする義務があります。

自転車でも一時停止に違反したときは、3月以下の懲役または5万円以下の罰金、過失の場合は10万円以下の罰金と定められています。

自転車事故が起きたときに、一時停止をせずに交差点に進入していると、大きな過失があるといわれてしまうことがあります。

ここでは、自転車の一時停止義務や、一時停止義務に違反したときの過失について解説していきます。

このページで解決するお悩み

  1. 自転車も一時停止の義務があることがわかる
  2. 一時停止の交差点での自転車事故の過失割合がわかる

自転車の一時停止の義務

自転車も一時停止の指定のある交差点では一時停止をしなくてはなりません。

道路交通法43条は、「車両等」は交差点において道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、停止線の直前で一時停止しなければならないとしています。

車両とは自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスとされ(道路交通法2条第1項8号)、自転車は軽車両とされていますので(道路交通法2条1項11号)、自転車も一時停止をしなければならないことになります。

大阪府警察の説明を引用します。

11 交差点の横断や通行方法にも決まりがあります

指定場所における一時停止
道路交通法第43条
罰則:3月以下の懲役又は5万円以下の罰金

一時停止の標識がある交差点では、停止線手前で一時停止し、交差点の安全確認をしなければならない。

引用元:大阪府警察、自転車の交通安全ルールブック

自転車も一時停止の義務があることから、指定場所で一時停止を行わずに交差点に進入した場合、過失として評価されることになります。

ただし、自転車の一時停止は必ずしも厳密に遵守されていない社会実態もあることから、自動車の一時停止違反よりは過失を軽く評価するという考え方があります。

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一時停止の指定

交通整理が行われていない交差点(信号のない交差点)で、一時停止の道路標識等があるときは、一時停止を行わなければなりません。

道路標識等により指定されている必要がありますので、道路に「止まれ」のペイントや停止線のペイントがあるだけの場合や、立て看板に「止まれ」と書いてあるだけの場合には、一時停止の指定とはいえません。

ただし、そうしたペイント、立て看板による注意喚起がある道路を進行してきたのであれば、より慎重な運転を行う必要があったとして、過失を重くする事情として評価される可能性はあります。

また、ペイント、立て看板については、道路標識等のように適切に管理されているとは限らず、文字が薄くなり消えかけてしまっていることもありますので、実際に現場の状況を確認することが重要といえます。

実況見分調書をみれば一時停止であるか確認できますので、一時停止交差点での事故では刑事記録を確認するようにしましょう。

一時停止の標識

一時停止の方法

一時停止とは、一時的に停止することを意味しますが、完全に車輪が停止しなければならないとされています。

速度を落としただけでは一時停止とはならないのです。

また、一時停止をする際に、交差点を通行する他の車両等の進行を妨害してはならないともされています。

一時停止の場所

一時停止を行うのは、停止線の直前とされており、停止線が設けられていないときは交差点の直前とされています。

停止線を越えてから停止しても一時停止違反として評価されることになります。

一時停止線から交差点内の安全確認が難しいといは、停止線で停止してからゆっくりと進行することになります。

一時停止違反の罰則

自転車でも一時停止に違反したときは3月以下の懲役または5万円以下の罰金、過失の場合は10万円以下の罰金と定められています。

自転車についても罰則が定められているのです。

一時停止のある交差点での事故の過失割合

自転車事故の類型によって「基本過失割合」があり、これを「修正要素」により修正し、類似の裁判例も参考にしながら過失割合が決められることになります。

以下では、「自転車同士の事故の過失相殺基準(第一次試案)」にある「基本過失割合」を紹介していきます。

関連するページ

  1. 自転車同士の事故の過失割合
  2. 自転車事故の過失割合の解説

十字路交差点の事故(一時停止あり)

信号の設置されていない十字路交差点で、一方に一時停止の規制がある交差点で発生した、直進する自転車同士が出会頭に衝突した事故です。

 

自転車同士の十字路の事故で一時停止あり

基本過失割合

A一時停止の規制なしB一時停止の規制あり
30%70%

一時停止の規制がある側の自転車が70%、一時停止の規制がない側の自転車が30%の過失割合とされます。

自転車も一時停止を行わないといけないので、一時停止側の過失が大きくなります。

丁字路交差点の事故(一時停止あり)

信号の設置されていない十字路交差点で、右(左)折をする自転車の側に一時停止の規制がある場合の事故です。

自転車同士の丁字路交差点で一時停止ありの事故

基本過失割合

A直進車(規制なし)B右左折車(規制あり)
25%75%

一時停止の規制がある側の自転車が75%、一時停止の規制がない側の自転車が25%の過失割合とされます。

一時停止側であるだけでなく、交差点で右左折を行う際の注意義務違反も加わるため、直進の場合よりも過失が重くなります。

関連する裁判例

自転車の一時停止義務違反が問題となった裁判例です。

自転車同士(車道上)の裁判例

裁判例①

自転車が一時停止なく駐輪場から歩道へ進入し歩行者に衝突した事故

⇒自転車が歩道に進入する際に一時停止しなかったことを重くみました。

裁判例②

自転車同士の出会い頭事故で一方に一時停止違反がある事件

⇒一時停止違反の自転車の過失を70%としました。

裁判例③

一時停止違反の左折自転車と直進自転車が衝突した事件

⇒一時停止違反の過失を重くみました。

裁判例④

丁字路交差点の事故で一方に一時停止違反がある事件

⇒一時停止をせずに左折した自転車の過失を85%としました。

まとめ

自転車も、一時停止の指定のある交差点では一時停止をし、交差点の内の安全を確認してから進行しなければなりません。

自転車事故で、一時停止をしていないと大きな過失とされてしまい、損害賠償金が減額されてしまうので注意が必要です。

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2007年に弁護士登録後、大阪の法律事務所で交通事故事件を中心とした弁護士業務を行う。
弁護士として15年以上の経験があり、自転車事故の損害賠償事件を多く扱うとともに、自転車事故の専門サイトを立ち上げ、自転車事故の被害者に向けた情報を発信している。
大阪弁護士会の「分野別登録弁護士名簿」に「交通事故分野」で登録しており、大阪弁護士会のホームページに実務経験として自転車事故の解決実績を掲載している。

弁護士(大阪弁護士会所属 登録番号35297)

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