横断歩道を歩行中の歩行者に自転車が衝突した事故の事例
大阪地裁令和2年12月17日判決(自保ジャーナル2089号)
事案
横断歩道を歩行する歩行者に自転車が衝突したという、自転車対歩行者の交通事故です。
以下の事情が考慮されており、類似の事故で参考になる事例です。
- 歩行者が横断歩道を歩行中の事故
- 加害者が高齢者
過失割合
歩行者 0% 対 自転車100%
裁判所の判断
裁判所は、被告自転車が横断歩道付近を走行中に進路を変え、信号のない横断歩道を歩行中の原告に衝突したことから、原告には過失相殺すべき過失はないと判断しました。
解説
概要
歩行者は横断歩道を横断していただけであり、過失相殺すべき過失はないとしています。
被告が高齢者であるという事情もあるのですが、それでも原告には過失相殺すべき過失はないとしています。
基本過失割合
自転車と歩行者の事故の過失割合については、別冊判例タイムズ38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準・全訂5版」で基本過失割合と修正要素が示されています。
横断歩道上の歩行者と自転車の事故の基本過失割合は、歩行者0%対自転車100%とされています。
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歩行者の道路横断
歩行者には、横断歩道付近では横断歩道によって道路を横断しなければならない義務があります。
横断歩道を横断せずに事故に遭うと、基本的に被害者にも過失があるとされてしまいます。
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類似の裁判例
裁判例①
横断歩道上で歩行者と自転車が正面衝突した事故です。
裁判例②
横断歩道上で、歩行者に自転車が斜め後ろから衝突した事故です。
裁判所が認めた慰謝料と損害額
裁判所は、通院慰謝料を34万7000円を含む損害の小計を83万6650円としました。